プログラム

*CATとはクリエイティブ・アーツ・
セラピーの略称です。

2017 年 5 月 20 日

【2017年 ミニシンポジウム 】「家族を支えるクリエイティブ・アーツ 〜困難を抱えた子どもと家族によりそうために〜」

ミニシンポジウム「家族を支えるクリエイティブ・アーツ 〜困難を抱えた子どもと家族によりそうために〜」のご案内

子ども支援を考えるとき、そこには必ず家族の存在があります。支援者には、家族を含めた視点が必要だと感じます。
クリエイティブ・アーツは、言語表現が未熟な子どもにとって、取り巻く世界を感じ、理解し、表現するための大切な媒体です。
大人にとっては、子どもの思いを知る手がかりです。
この会では、子ども支援の担い手となる参加者とともに、家族を含めて関わるとはどういうことか、その過程でクリエイティブ・アーツという媒体がどのような役割を担うのかを考えます。
参加者同士のネットワークづくりの機会にしたいとも考えます。

日時 2017年6月25日(日)10:00〜16:30(受付開始 9:40)

会場 東京ウィメンズプラザ1階 視聴覚室
(〒150-0001 東京都渋谷区神宮前5-53-67)

プログラム

10:00‐12:00  基調講演&ミュージックセラピー体験
「クリエイティブ・アーツが“家族”にできること〜レジリエンス(精神的回復力)の形成にむけて〜」
講師 鈴木琴栄(全米・日本音楽療法学会認定音楽療法士)

13:00‐14:00 レクチャー「地域で家族を支える〜創造的な活動がもたらすこと〜」
講師 天野敬子(不登校・ひきこもり研究所 精神保健福祉士)

14:00‐15:00 レクチャー「アートセラピーの可能性 〜児童養護施設の現場から〜」
講師 井上里美(児童養護施設別府平和園 臨床心理士)

15:15‐16:30 全体会(一日を振り返る対話とアートワーク)
ファシリテーター 井口雅子・倉石聡子(アップコンセプト)

対象者 教育、医療、福祉、心理などの分野で子どもや家族に携わる方、表現活動を行っている方、地域で活動を行っている方、行政関係者、保護者、学生など

参加費 500円(当日会場にてお支払いいただきます)

定員  80名

申込方法
下記申込フォームまたは、シンポジウム事務局までメール(info@apconcept.jp)にて下記を記載の上お申し込みください。
1.参加者氏名 2.参加人数 3.所属などあれば 4.参加動機

◇主催 : アップコンセプト(www.apconcept.jp)

◇お問い合わせ : シンポジウム事務局(info@apconcept.jp)
お申し込みはこちら
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プログラム内容詳細

1.基調講演&クリエイティブ・アーツセラピー体験 「クリエイティブ・アーツが「家族」にできること〜レジリエンス(精神的回復力)の形成にむけて〜」10:00-12:00

子どもの貧困、児童虐待、離婚率の増加などを背景に、近年の日本でも様々なバックグラウンドをもつ「家族」の在り方が広がっています。多様な「家族」においても、早期の親子の絆の形成は、子供の発達に欠かせない基盤となります。様々なストレスに耐久し、それらをも跳ね返して生きていく力を「レジリエンス」と呼び、それを育む鍵としてアート媒体を通じた表現やかかわりが注目されています。NYコロンビア大学病院の精神科医とアーティストたちが25年前に始めた、児童虐待防止などを目的とした「予防的」コミュニティープログラムの紹介を通じ、日本におけるコミュニティーづくりにおけるCATの可能性なども踏まえながら、私たちはそこから何を学べるか、共に探っていきたいと思います。

講師:鈴木 琴栄 (すずき ことえ) 全米・日本音楽療法学会認定音楽療法士
2016年1月までモロイ大学音楽学部音楽療法学科講師、コロンビア大学付属病院児童・精神科に在職。ニューヨーク大学大学院音楽療法学科修士課程修了。レズリー大学博士課程在籍中。音楽心理療法やスーパービジョンも行っている。現在、人口4千人、高齢者率約半数を占める高知県土佐町に家族で移住。中山間地における「集落福祉」において、医療・福祉・教育をつなぐコミュニティー音楽療法の可能性を模索中。共著『新しい芸術療法の流れ』、共訳書『音楽中心音楽療法』がある。

2.レクチャー「地域で家族を支える〜創造的な活動がもたらすこと〜」13:00‐14:00

子どもにとって五感を使ったクリエイティブな“遊び”は成長に欠かすことができません。自発的に主体的に遊ぶことによって、子どもたちはさまざまな学びを得るのです。不登校の子どもたちにとって、家から一歩出て安心していられる居場所を地域の中に見つけることは回復への大きな一歩です。アートを使ったワークショップを毎月開催しています。そこでは上手下手を問われずに自分の作品をつくりあげます。「子ども食堂」の活動が全国に広がっています。食事は人間に必須の大事な営みです。ただ、空腹を満たすだけでなく、そこに人と人との交流があってこそ、豊かな時間となるのです。そして、料理もまた創造的な活動なのです。

講師: 天野 敬子(あまの けいこ)
不登校・ひきこもり研究所代表、精神保健福祉士、社会福祉学修士、ダンスセラピスト。昭和56年3月神戸大学教育学部卒業。平成18年3月大正大学大学院人間学科社会福祉専攻修士課程修了。平成20年よりスクールソーシャルワーカーとして活動。居場所づくりをテーマに地域活動に専心している。NPO法人豊島子どもWAKUWAKUネットワーク事務局長。

3.レクチャー「アートセラピーの可能性 〜児童養護施設の現場から〜」14:00−15:00

児童養護施設は、児童福祉法に定められた児童福祉施設です。そこには、様々な背景を持った子どもたちが親から離れて暮らしており、多くの子どもたちは被虐待児です。中には、表面的には明るく元気いっぱいだけれども、実は心に深い傷を抱えたまま過剰適応という方法で生き抜いている子どもたちも少なくないです。そのような子どもたちに、どのようにアートセラピーを行ってきたか、非常勤で2年、常勤では10年、計12年間働いてきた経験をもとに、事例を通して子どもたちを理解し、アートセラピーを行う上での課題と利点を織り交ぜながら、今後のアートセラピーの可能性を探っていきたいと思います。

講師:井上 里美(いのうえ さとみ)児童養護施設別府平和園 臨床心理士
大分県出身。英語教師になる為にアメリカ留学。しかし、大学でアートのクラスを受けるうちに、アートセラピーに興味を持ち、そのままアメリカの大学院にてアートセラピーを専攻。少年鑑別所などでインターンをし、2004年9月に卒業。帰国後は大分県の児童養護施設別府平和園で個人のアートセラピーを子どもたちに2年間行い、同施設で常勤心理士となる。その後、臨床心理士資格を取得し、アートセラピーのみでなく心理職全般を行っている。

4.全体会(一日を振り返る対話とアートワーク)15:15−16:30

1日を通して、感じたこと、受け取ったことを全員で振り返る時間です。今日の体験から生まれてきた言葉を元に、参加者同士で対話をしたり、色や形に表したりしていきます。後半、小グループに分かれ、家族の形をイメージしながら、体で感じたり、動いたりしていきます。

ファシリテーター
井口 雅子 (いぐち まさこ)アップコンセプト、ドラマセラピスト、チャイルドライフスペシャリスト
倉石 聡子(くらいし あきこ)アップコンセプト、アートセラピスト、臨床心理士